トラウマ・リリース・セラピー(その7)リリース

※ この投稿は、2020年11月25日にFacebookに投稿した記事の再掲です。

殿は、仰向けに寝ている僕の後頭部を両手のひらで支えて、脳脊髄液の流れをチェックする。

「まさおさん、すごいですよ。既に、まさおさんの赦しは、7割まで進んでいます。はじめからここまで来ているということは、やはり今日ここに来る準備が出来ていたということです。キネシオロジーでの反応もすごくはっきり出ていて、まさおさんは『感じ取れない』と言っていますが、本当は身体、感性の部分では深いレベルでわかっているということなんです。」

「トラウマをリリースするということは、感情の大元の相手を赦すということなんです。赦すということは、相手を理解すること、相手に興味を持つということ。時代背景も含めて理解をして、愛で包み込むということです。・・・すごいですよ。今こうやっている間にも、赦しが進んで、もう8割にまでなりました。」

殿がとても励ましてくれるので勇気づけられるが、僕の中で確固たる手応えがある訳ではない。けれど、殿と燕山君の人生や過去生の自分であった娘の人生を振り返っているうちに「それは悲惨だ」といった気持ちが「それは辛かったね」とか「それでも最後は幸せになれてよかったね」とか感情の軸足が移っていった感覚はあった。燕山君や娘を相手にカウンセリングをしているような感覚である。

相変わらずタオルが顔に載せられているので何も見えないが、バタバタと音がし始めた。診察室に人が入ってきた感じだ。殿が仕上げに入る。

「最後に数値がどう変化したか確認しましょう。
クンダリーニ 99
サーチュリン 99
テロメア 13500
他の数値もすべて正常値に収まっていますね。
両手をバンザイして下さい。」

殿がバンザイした僕の両手を伸ばす。

タオルを取ってもらって、椅子から降りたら、殿の奥様である久美さんがいた。
時計を見れば、すでに16時。

ゆっくりお礼を言う暇もなく、しかし記念写真だけはしっかり撮ってもらって、バタバタと片付けて、診察室を出たら、待合室には患者さんが何人も、殿の歯科治療を待っていた。

(終わり)