※この投稿は、2019年3月にFacebookに投稿した記事の再掲です。
「すごいおばあさんがいる」と友人から聞いた。友人の話を聞いていると、どうも霊視してるんじゃないかと思える話があり、そう言うと友人は「してる、してる、ばっちり!」と答える(笑)。決め手は1時間半3,000円という良心的な料金で、一度お会いすることを決めた(笑)。
メールで予約をすると、名前を尋ねられ、あとは日時を調整して、当日指定された喫茶店に向かう。お互い特徴も年齢も確認していないので見つけられるかちょっと心配だったが、喫茶店の隅の席にちょこんと座っている小さなおばあさんが目に入って「間違いない」。
伊岡森トクさん。
最初に手書きのお手紙を渡される。
名前からトクさんが「波動」を読み取って、それを文章にまとめてくれたものだそうだ。
達筆すぎて、よく読めない(苦笑)。
いろいろ書いてくれているのだが、当たっているな、と思うところと「?」と思うところが混在している。「占い」と思えば、まあ、こんなものか。
読めない文言もあるので、それも含めて解説してもらう。そしてまず言われたのが、
「学ぶのは大切だけれど、学びが学びで終わってしまい、人生に生かされなかったら意味がない。本当の学びは、実際にやりながら自分のものとして、初めて学びと言える。」
あれ?
カウンセリングの勉強してますとか、言ってないんだけど(;´Д`)。トクおばあさん、やはり霊能力者か!??
そのまま話を聞き、やりとりをしていくと、ご自身の体験からお話をされているところもあり、必ずしも霊視をしている訳でもなさそうだ。部分部分「天とつながる」ことがあるということかもしれない。
カウンセラーを目指していることを話し、今後気をつけるべきことを尋ねた。
「昔と違って、今は選択肢が多い。たとえ相手が離れても、自分の至らなさを嘆くのではなく、相手が相手にとってよりふさわしい選択をしたのだ、と思いなさい。」
ぎく!クライアントが離れるとか、ありそうなシチュエーションだね、確かに。でもそこで納得したふりはせず、ではどうしたら嘆かずに済みますか?と訊いてみたところ、
「嘆くヒマなどない。あなたが役に立てる人が次にまた現れる。過ぎ去ったことは気にせず、今目の前にいる人に集中しなさい。」
参りました。おっしゃるとおりですね。
・・・
どうも誤解していた。
トクおばあさんは、霊能力者というよりは「人生相談」のおばあちゃんだ。話をしていると、知らず知らずのうちに、勇気づけられる。
トクさんは、子どもの頃から親兄弟に「お前はバカだ、バカだ」と言われ続け、中学校しか出ておらず、親の決めた相手と結婚させられ、子どもを2人授かったのだそうだ。そして30才のとき、重度のリウマチと診断され、あと2年で指一本しか動かさせなくなると宣言されたのだと。
それを聞いたトクさんは「あと2年しかない人生をこの夫と過ごすのは嫌だ!」と子ども2人かかえて離婚した。とはいえ、重いリウマチをかかえた専業主婦のトクさんに出来るのは、家で内職をするのみ。医者に行く金もなく、リウマチの痛みに耐えながら、内職で稼いだ僅かな金を分け合い、家事は買い物、料理、洗濯を子ども達2人とで日替わり当番制にして30年間頑張ったのだそうだ。一方で、独学で、憲法、社会学、心理学などを勉強して、それを10年続けるうちに「文字になっているものを自分のものとして消化する」解釈の仕方を身につけたのだそうだ。それが、今の「名前から読み取る波動ポテンシャル」につながったのだそうだ。
「最初の10年は誰もお客さんなんて来なかった。30年経ってようやくポツポツと仕事になっていったかな。40年経ったあたりから仕事らしくなっていったよ。今は、口コミだけで毎日のようにお客さんが来てくれる。これはわたしの天職だと思っているから楽しいよ。」とトクさんが笑う。
「娘はずいぶんとお金持ちのところへお嫁に行った。『トクさん、娘さん、玉の輿に乗ったね。』と言われるんだけど、わたしは『とんでもない!私の日本一の娘を嫁にもらった向こうの方が玉の輿だ』と心の中で言ってるんだ。」
一方、息子さんは脳性麻痺で施設に入っていて、意識もない状態だそうだ。
「親と子が逆転しちゃって、親が子どもの介護だよ。私が息子の介護をすると、息子が泣くんだよ。親に世話してもらうのがよほど悔しかったみたいでね。施設に入ったらとても喜んでいるのがわかったよ。」
それでも息子が不憫だとか、自分が不幸だとか思ったことはないんだそうだ。
「わたしは幸せだよ」とトクさんは言う。
そんなトクさんに相談者は勇気をもらうのだろう。
「リウマチはどうなったのですか?」
「医者にいく金もなかったからねえ。40年経ったあたりで、痛みは消えたよ。」
・・・
「今日から1年後の今日まで、何度相談に来てもらっても無料だから。」
「いや、せめて千円くらい取って下さいよ。」とトクさんに言ったら、初めて困った顔をして苦笑いされた。