人の情けに触れた夜

※ この投稿は、2019年5月にFacebookに投稿した記事の再掲です。

あけみちゃん講座初日、懇親会終了後帰路につき、お店から15分ほど歩いたところで忘れ物に気づいた。

財布、スマホ、家の鍵、運転免許証、健康保険証、クレジットカード、キャッシュカードなど貴重品一式がすべて入っている巾着袋。

お店に置き忘れたのかと思い、急いでお店に戻ったが、忘れ物はないという。講座のメンバーはとうの昔に帰り、お店も閉店の準備をしている。家まで帰るお金は一銭もないし、家に連絡するスマホもない。万事休すとはこのことだ。

お店になければ、会場にあるかもしれない。しかし会場に戻るには、事務局の人に電話しなければならない。困っていたら、店員の女性が私物のスマホを貸してくれた。

ありがたい!が、電話番号がわからなければ、電話のしようもない。お店の予約をした人の電話番号を教えてもらえばよいと思ったが、予約した人は今日は来てないという。事務局の人ではないのか・・・。

手帳にメモしていないか確認したが、ない。どこかに書いてないか・・・。すると、研修資料に事務局の連絡先が書いてあるのを見つけたので電話したが、応答なし。何度か電話して出たと思ったら、いつの間にか電話番号を押し間違えたようで、違う声の人が出た。平身低頭で電話を切り、改めてかけ直したが、やはり気が動転していたのだろう、また同じ人に間違い電話をかけ続けたようで、何回か電話したら着信拒否されてしまった。いよいよ、焦りは頂点に達し、かけ続けた電話番号そのものが間違っていたことに気づいて改めて正しい電話にかけたが、応答なし。

やむを得ず、お店を予約された方の電話番号に電話したら幸い出てくれて、事務局に連絡をしてくれるという。ただし、研修会場は、もう施錠されているから、今日探すことは無理だと。

困った。すでに、スマホを借りたまま30分くらい経っているのでスマホはお店の女性に返した。実際につながったのは2回だけなので、電話代はほとんどかかっていないはずだが、何も言わずにずっと貸してくれていたことに感謝した。

交番に行ったら帰宅費用くらい貸してくれるかもしれないと思って交番に行ったが、世の中それほど甘くなかった。

「で、どうするんですか?」

と、すげない返事のおまわりさん。

自宅の固定電話に電話をつなげてもらうのがせいぜいだった。

すでに寝ている妻を、電話で起こして、迎えに来てもらったのが午後11時30分。なんとか終電には間に合って帰宅した。

また交番の前で妻を待っている間に、さきほどスマホを貸してくれたお店の女性がやってきて、事務局からかかってきた電話をつないでくれた。事務局の女性は明日会場をさがしておくねと優しい口調。もう夜も遅いのに、しかも僕が悪いのに、優しさで救われた。

翌朝、研修会場に向かったはずが、駅から反対方向に歩いてしまい遅刻したのは、やはり動揺していたからだろうか。

朝早くから会場で巾着をさがしてくれた事務局の人が泣きそうな顔で「見つかってよかったね~(T-T)」と言ってくれた。まるで僕自身よりも僕に親身で嬉しかった。

おまわりさんは置いといて(笑)、お店の女性といい、事務局の皆さんといい、文句は言いつつも(苦笑)迎えに来てくれた妻といい、人の情けが身に染みた昨日今日でした。

ただし妻には今後一生、家の料理は僕が作ることを約束させられました\(T0T)/。今も僕が作っているからいいんだけどね。

私物のスマホを30分も貸してくれたお店の女性には、巾着が見つかったことの報告を兼ねて、コンビニでチョコレートを買ってお渡ししました。もっと気の利いたものを贈りたかったけど、まあ、気持ちだけでもね。