※ この投稿は、2020年8月18日にFacebookに投稿した記事の再掲です。
買い物帰りの夕方、ドラクエウォークを操作するため、立ち止まって、公園の外柵に腰掛けていたら、ラフな姿の知らないおじさんが話しかけてきた。
「おにいさん、仕事はあるかね?」
「このおじさんは何者か?」「どんな意図をもって僕に話しかけてきたのか?」「このおじさんにどう対応すべきか。問いかけに答えるか、無言で立ち去るか?」頭の中で瞬時にこれらの疑問が立ち上がったが、結論を出せないまま、反射的に答えていた。
「あるわけないじゃないですか。」
すると、おじさん、にっこり笑って
「そうだよなあ。オレもそうなんだ。」
と言って、僕の隣に腰掛ける。あれあれ、誰かに話を聞いて欲しい孤独な老人かしら?と疑問符を頭の片隅に置きつつ、聞いていると、そうでもない。
おじさんは65歳。タクシー、トラック、観光バスの運転手をしてきたが、今は仕事がない。再婚した20歳年下の元銀座のホステスの妻が働いてくれていて、午後7時になったら帰ってくる。オレは濃い味が好きだが、妻は薄味。でも作ってくれるから文句言わずに食べるんだ。
初対面の僕に、おじさんの半生の話を聞かせてくれる。やっぱり友達いないのかな?という疑問がついてまわるが、遊び仲間もいるし、息子も独立して近所で会社をやっているという。話も具体的で、まんざら作り話でもなさそうだ。
そのうち、話がディープになってきて、遊びが過ぎて最初の奥さんには逃げられてしまったが、それでも遊び続けていたら、天罰があたって病気になって、今の奥さんから隠すのが大変だった話やら、若い頃はこのへんの「組の者」だったが、土下座して抜けさせてもらった話やら、話が止まらない。
僕に向かって話しながらも、通りがかりの買い物かごをかかえた中年女性に「よお!元気?」などと挨拶する。「同じ団地の◯◯さんだ。」誰に対してもこの調子で話しかけているのかもしれない。
話は面白いが、かれこれ20分は話し続けている。若い頃、茨城から東京に出てきた話あたりで、一息ついたので、じゃあそろそろ、僕も家に帰って料理作らんといけないので、と、おじさんに、いとまを告げる。
「おお!いいご主人だね!オレはひまだから、だいたいこの辺にいるからまた話そうや!」
・・・話そうや!と言っても、おじさん、一人で喋りっぱなしでしたがな(苦笑)。ただ自慢話を聞かされた感じはなくて、いろいろバカやってきたが、幸せな人生を生きてきたんだ、と、そんな印象が残ったおじさんの話。やはり誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。遊びが過ぎて病気になった話は、今も奥さんには内緒らしいし(笑)。
けど、今度このあたりを通る時は、立ち止まらないようにしよう(笑)。おじさん、話、長いから。もしそれでも話を聞いて欲しいと言ったら、料金を請求しよう(笑)☆\(–;)ムリダ
単に僕がヒマそうに見えただけかもしれないが、話しかけやすかったのかもしれない。つい意味を追ってしまう僕は、この体験は、僕にとってどんなメッセージを運んでくれたのだろう?と考えるのであった。