ザ・メンタルモデル

※ この投稿は、2020年8月28日にFacebookに投稿した記事の再掲です。

秀逸な本だ。

最初この本の話を人から聞いた時は、心理系の本だと思っていた。幼少期の心の傷が、その後のその人の生き方を決定するといった趣旨のことが書いてあるからだ。

だが違った。この本は、己の無意識まで包含した(魂レベルでの)自己を知り、自分を突き動かしている心の傷エンジンを載せ替えて、魂のミッションに向けて自分自身をガイドする本だ。

「メンタルモデル」は4つに分類される。この解説をするとそれだけで終わってしまうので、まとめサイトから分類を借用する。読んでいない人はご参考に。
(引用先:https://www.biz-knowledge.com/entry/the-mental-model

4つのメンタルモデルは、一人の中にすべての要素が含まれているが、必ず「そのうちのどれか一つ」に分類される。「4種に分担された魂のミッションを一人でこなすのは難しいからだ」と著者の由佐さんは言う。

僕は「欠陥欠損モデル」だ。「欠陥欠損モデル」は、常に自分の「足りないところ」に意識が向く。何をやってもやりきった感がなく、またそれだけのエネルギーも続かない。そんな自分を「ダメ人間」と評価して、周りから好評価があっても受け入れられない。

自ら世界に出ていくことはなく、呼ばれれば「こんな自分でよかったら」とおずおずと出ていく。自分のためには動けず、人の役に立つこと、人の助けになることには密やかに頑張る。しかしそれでも「本当にこれでよかったのだろうか?」といつまで経っても充足感を得ることはない。

メンタルモデルの行動原理は「回避」だ。幼少期の心の傷を二度と味わいたくないため、努力して「克服」しようとするか、不安が強すぎて「逃避」するかで、モデルが変わってくる。「欠陥欠損モデル」は「逃避」のもっとも強いモデルだ。

・・・

だから、動けなかったのか。

読み進めていくうちに、今の自分の状況が腑に落ちた。もともと克服するとか、証明するとか、知らしめたいとか、そういう行動原理がないのだ。自分のエネルギーをそのような形で使うように出来ていないのだ。

また会社を辞めて自由になっても「これでようやくやりたいことが出来る」という意識にもならない。「欠陥欠損モデル」は、自由になったら「ひっそりと目立たないように暮らす」のが(恐れエンジンが創り出す)望みなのだ。その意味では、今まさに望み通りの生活をしている。そりゃあ動くわけがない。

だが、それは見せかけの望みである。「欠陥欠損モデル」にも実現したい世界はある。それは「安心・安全の場」だ。戦うとか、成し遂げるとかのDoingとは無縁の世界。ただそこにいて安心・安全であること。欠陥とか、欠損とか、そんなことが意識に上らない世界。

僕はそれを「そだねカフェ」という構成で実現しようとしている。その意味では、これまでの人生かけて、魂のミッションにリーチがかかったところまでは来ていたのだ。

・・・が、それなのに、なぜ動けなかったのか。

それはそれすらも「人のために」実現しようとしていからだ。「そだねカフェ」を創って、安心・安全の場でやすらぎたいのは、自分自身だと認めることが出来なかったのだ。それさえも(自分を除外した)「人のため」に「特別な場」を作ろうとしていた。

ただここには、もう一つ難関があって、僕自身の「安心・安全の場」はすでに存在している。固有の場所にではなく、僕の人間関係の中にすでにそれはあるのだ。だから、それを「地球上に広げたい」という魂のミッションに至るまで、もう1段のコメットメントが必要だ。

あとはアプローチが間違っていた。「欠陥欠損モデル」は、Doingにエネルギーを集中させるのが苦手だ。すぐ不安に陥るから。成果が出なければ、成果が出るまで頑張るようには出来ていない。なので、成果の有無を意識しないで済むように「息をするように」「朝起きて、夜眠るように」やっていく必要がある。淡々と繰り返す方が得意なのだ。

今まで「価値なしモデル」や「ひとりぼっちモデル」の人々が成果を挙げているのを間近で見ながら、「ああ、すごいなあ」「けれど、自分はああいう風には出来ないなあ」という目で見ていた。それこそまさに「欠陥欠損モデル」の視座で世界を見ていたわけだが(苦笑)、「自分なりのやり方」へのヒントをこの本からもらったように感じている。至らぬ点に意識が向きがちな自分に気づいたら、それを打ち消し「今の自分のままで生きていく」と再決断し、「至らぬ点などそもそも意識にあがらない」安心・安全の場を作り、広げていく。それも力まず、淡々と。機を織るように進めていけば、最初は形にならなくても、いつか美しい織物が出来るに違いない。

「ザ・メンタルモデル」由佐美加子・天外伺朗共著 内外出版社
http://mentalmodel.jp/