悲しみのグウィン(その1)

※ この投稿は、2019年3月にFacebookに投稿した記事の再掲です。

「エネルギーを送ったんだけど、受け取ってもらえなかったのよね。」と友人が言った。

この日、僕は大学の公開講座で知り合ったスピリチュアル・カウンセラーに会いに行って、カウンセリングを受けていた。

「カウンセリング当日までの間、遠隔でエネルギーを送るから、もし感じたら受け取ってね。」と、彼女は言ってくれていたのだが、エネルギーを送っても、僕の方が受取を拒否したという趣旨のことを言われたのだった。

それを聞いた僕は、自身の感情遮断の話をした。今まで不思議な縁でカウンセリングをいろいろな形で受けて来た結果わかったのは、自分自身が感情を強く抑圧しているということ。その結果、カウンセリングを受けても、大きな感情の解放の体験がないこと、もっと端的に言えば、号泣の体験がないこと。

「・・・すごく大きな悲しみがあるのよねえ・・・」

霊的な能力に優れた彼女は、僕の心の奥底を感じてそう言う。

「インナーチャイルド、呼び出せる?」
「うん、出来るよ。」
「じゃ、呼び出して。私と会話しましょう。」

この会話に至るまで相当なやりとりがあったのだが、それは省略して結論に飛ぶ。いつも背を向けて座り込み、誰とも口をきこうとしない、いつもの僕のインナーチャイルドと彼女との会話が始まった。

「あ~そぼ♪」
「いやだ!ほっといてくれ。」
「なんで?こっちの方が楽しいよ。」
「楽しくなんかない。あっちいけ!そっちに行ったら傷つけられる。僕はもう傷つくのは嫌だ!」

「・・・名前はなんていうの?」

予期せぬ質問に戸惑った。自分の名前をさがす。
・・・ヤン?リン?・・・ウィン?・・・?

「・・・グウィン」

「グウィン、遊ぼ」

一気に強い感情があふれ出す。

「僕の名前を呼ぶな!あっちに行け!!」
「グウィン、大丈夫だよ。グウィン。」
「いやだ!いやだ!!いやだ!!!怖い、怖い、怖い!」

「グウィン、そこは何年なの?」

何年?それを考えると(頭の中のイメージでの)自分をとりまく風景に意識が向いた。そこは暗い小屋の中のようだった。外で何か怖いことが起こっている。

「十何世紀・・・」

それ以上絞りきれなかったが、今思い返すと、18世紀か、19世紀。今からそれほど昔のことではなかったような気がする。

「グウィン、そこで何が起きているの?」
「名前を呼ぶな!怖いことが起きている。人が人を殺している。外に出たら殺される。誰も信用出来ない。誰も助けてくれない。僕は誰にも見つかっちゃいけない。見つかったら、とても怖いことが起こるんだ。」

「・・・グウィン、もうそれは終わったの。今は十何世紀じゃないのよ。顔をあげて周りを見てご覧なさい。天使達があなたを迎えに来ているよ。神様のもとに帰りなさい。そこは安全だよ。もう怖いことなんかない。安心して、神様のもとにお帰り。」

・・・そうして、徐々に「グウィン」の感覚は消えていった。

・・・

「たぶん、戦争だったんだと思う。」

現実に戻った僕が友人に言った。

「家族がどうなったのか・・・。ひとりぼっちで小屋に隠れていた。見つかってはいけない。声をあげてもいけない。ただただ怖くて、恐ろしくて、一人で丸まって震えていた。そりゃあ、怖いよなあ。誰も信用出来ないよな。声をかけられても返事など出来ない。振り向きもしないわな。」

「何歳だったの?」
「・・・たぶん、8歳くらい?」
「そうだね、、、7~8歳って感じがする。」

「グウィンの思いがまさおさんの中に残っていて、それで誰も寄せ付けなかった。でもそれはまさおさんの中にある大切な何かを守っていたとも言える。そして今、まさおさんはもうグウィンがいなくてもその大切なものを自分で守れるようになったから、このタイミングでこういうことが起こったのだと思う。グウィンは神の元に還ったけれど、グウィンの思いはまさおさんに引き継がれている。」

「グウィンの思い?」

「グウィンがその人生で成し遂げたかったこと。その思いのバトンが世代を超えて引き継がれていくんだよ。」

・・・

友人も僕も、この日、まさかヒプノセラピー(催眠療法)で過去生回帰をすることなど考えてもいなかったが、結果的にそれは起こった。しかし、それもまた単なる偶然ではなかったのだろう。見えないところで、僕は導かれていたのだ。

僕が、たぶん何重にも厳重に鍵をかけて守っているもの。グウィンが離れたことで、その鍵が一つ解かれたということが今日起こったことだろう。

僕はそれで十分満足だったが、この日まだ続きがあろうとは夢にも思っていなかった。

(その2)に続く。