負けた分だけ自由になる-バイロン・ケーティ・ワーク

※ この投稿は、2019年3月にFacebookに投稿した記事の再掲です。

週末土日を使って「バイロン・ケーティ・ワーク」を受けて来た。この「ワーク」を知ったのは、LPL養成講座でだ。そして、見せてもらったお手本と自分でやってみたことを比べて、一番ギャップが大きかったので気になっていた手法だった。

「バイロン・ケーティ・ワーク」はとてもシンプルで、マニュアル通りやれば、誰でも出来るし、自分一人でも出来る。

自分を苦しめている人なり、事柄を思い出しながら、それをシンプルな文章にして、4つの質問に答え、その後、その文章を決められたとおり置き換えをする。例えばこんな具合にだ。

「妻は私の話を聴くべきだ」
(自分を苦しめている事象。私は妻の話をちゃんと聴いているのに、妻はまったく私の話を聴かない。そしてそれがもとでいつもケンカしている。)

<第一の質問>それは本当ですか?

本当に決まってる!だからいつも頭にくるし、ケンカになるんだ。

<第二の質問>それが本当だと絶対に言い切れますか?

うーん、まぁ、たまにはそうじゃないときもあるかも。。。

<第三の質問>その考えがあるとき、あなたはどう反応しますか?

怒り、頭に血がのぼり、相手を非難し、その場から立ち去ります。

<第四の質問>その考えがなければ、あなたはどうなりますか。

まあ、その考えがなかったら、怒ったりしないから平和でしょうねえ・・・。

この後「置き換え」ということをするのだが、このように文字にしてみると、どうってことないし、実際、単にマニュアル通りやっても、こんな感じで終わってしまい、浄化もなければ、変容もない。

が、しかし、これがうまく機能すると、質的な転換が起こる。自分の中に革命が起こるのだ。

体験してわかったのは、ワークの最中、自分にその苦しみを起こさせた過去の体験に留まり続けること。その苦しみがピークに達した特定の体験を思い出し、そのときの自分自身の感情に対してワークをするのだ。

例えば、4つの質問のあと、「置き換え」をするのだが、そのひとつに「内容を反対にする」というものがある。ここでの例でいうと、

「妻は私の話を聴くべきではない。」もしくは
「妻は私の話を聴かなくてもよい。」ということになる。

そして、ケンカになったその日のことを思い出しながら、「話を聴くべきではなかった」真実味のある答を探求していくのだ。

普通、そんなことは思いつかない。
相手が話を聴かないから取り上げているのに、「聴かなくてもよい」とか「聴くべきではない」などあり得ない。

しかし「4つの質問」がうまく機能すると「100%相手に非がある」と信じ込んでいた自分の思考に小さな亀裂が生じる。そして「置き換え」ていくうちに、その過去の体験のあったときには自分では見えなかった別の視点に気づくのだ。

「・・・そういえば、あのとき、僕は妻の話を最後まで聴いてやってなかったかも・・・。」
「あのとき妻が提案したことを僕は無視ししていた・・・」

こうなるとしめたもので「そりゃあ、妻が自分の話を聴かなくても無理もない」という気持ちになり、とどめの「置き換え」をすることになる。その置き換えは「主語を入れ替える」もの。

「私は妻の話を聴くべきだ」

はい、申し訳ありませんでしたm(__;)m

これはやってみてわかったのだが、このワークで、自分の気づいていない視点に気づいたところで、客観的に見て、それでもやっぱり相手が悪いとか、もしくは例えば、裁判をやったとして、相手の過失99%で、自分が1%であったとしても、ワークが終わったときには、「もうそんなことはどうでもよい」という感じになっている。

研修中に何度も強調されたが、ワークをしたところで「相手は何も変わっていない」し、「事実も何も変わっていない」。ただ「自分を苦しめていた思考から離れることが出来た」のだ。

相手が悪い、自分は悪くない、という「綱引き」の綱そのものを手放した。そして「善し悪し」とかどうでもよい。それよりも「自分を苦しめていた思考」から離れて、清々した。自分は解放されて「自由」を得た。その気持ちが心地良い。

相手を赦し、自分を赦した。「バイロン・ケーティ・ワーク」は、赦しのワークなのだ。

受講者たちは、みなそれぞれに自分を苦しめているテーマを文章にしてワークを始めるのだが、やっているうちに、泣いたり、笑ったりし始め、最後には、全員が笑っている。

最後のシェアリングで、受講者の一人が「こんな気持ちのよい『負けっぷり』は初めてです!」と満面の笑顔で語り、みながどっと笑う。これが「バイロン・ケーティ・ワーク」だった。

バイロン・ケーティ・ワーク
http://thework.com/sites/thework/nihongo/
日本での受講
http://www.transpersonal.co.jp/p/byron-katie-work/
「置き換え」の事例
https://youtu.be/tqoI_YyxKi4