トラウマ・リリース・セラピー(その1)中山歯科矯正医院

※ この記事は、2020年11月25日にFacebookに投稿した記事の再掲です。

東京の自宅から電車を乗り継いで3時間半(特急を使わなかったので1時間余分に時間がかかった)。常磐線「泉」駅から更に車で10分のところにある「中山歯科矯正医院」。

タクシーの運ちゃんに「お客さん、東京からここまで、わざわざ歯の治療に行くんですか?」と訊かれ、「え、えぇ、まあ、知り合いなんで・・・」と言葉を濁す。「ここの先生が『トラウマ・リリース・セラピー』ってのをやっておられてね・・・」とは、言えなかった。

医院は工事中のようで、外壁は養生のネットで覆われている。セラピーを受けるための別室とか「セラピー入口はこちら」とか、特別な案内でもあるのかと想像していたが、入り口は歯科医院の玄関しかない。しょうがないので歯の治療に行く患者のようにガラスの扉を開けて、中に入った。中には入ったが、そこは、とても清潔ではあるが、普通の歯医者さんの受付・待合室だ。美しい女性のスタッフが受付に座っていた。

「予約をしていたきむらと言うものですが・・。」

ここでも「トラウマ・リリース・セラピーを受けに来た」とは言えなかった。しかし、僕の言葉を聞いて、スタッフの女性の顔が輝いた。

「『トラウマ・リリース・セラピー』ご予約のきむらさまですね。お待ちしておりました。」

え?話通じてるの?
僕は患者じゃないんだけど。

ほどなく、施術者の中山孔壹(こういち)先生(通称「殿」。以下、「殿」と呼ばせていただく)が診察室から出てきてくれる。マスクに医療用手袋に医療用エプロン。どう見ても普通の歯科医師だ。というか、今日は普通の診察日で、殿は歯科医師として普通に治療をしているのだということに初めて気がついた。僕は、歯の治療に来た患者さんの中に飛び込んだ珍獣のような気持ちになった。僕は歯の治療に来たわけではないのに・・・。

殿とは初対面。zoom講座の「トラウマ学」で画面を通じてお会いしてはいたが、実際にお会いしてみると、優しく、穏やかな雰囲気、饒舌とは違うが、お話上手。歯医者は割と嫌われる商売だが、殿は歯の治療に来た患者さんにとっても、とっても良い先生と思われているに違いない。

受付スタッフの女性から問診票を渡された。これまた歯の治療に関する問診票である。殿いわく「噛み合わせとかね、そういったことも(トラウマに)関係しますので、最初にちょっと歯も診させて頂きますのでね。」

いや、歯磨きもしてないし、さっき車内で駅弁食べたばかりだし・・・。
いったいどうなってしまうのだろう?

(その2)に続く